悩みを聞きだすプロと出会った話
「商品販売て押し付けでしょ?」って思ってた。
常々思うことがある。街を出歩けば、美容や食品、服や靴、ゲームに家電……さまざまなショップがあるが、そこで働く人々は、何を考えて商品を売っているのだろうか?私の経験談では、手に取って買おうか悩んでいるとき、「こちら最近大人気で〜」といった形でいきなり商品解説が始まる。こっちの気持ちは無視で、自分のノルマ達成のために押し付けているだけでは?そんな悶々とした気持ちを抱いていた。
しかし、「ショップFUTAEDA」の店員さんはそんな私の気持ちをあっさりと砕いた。
「学生コラボ企画〜FUTAEDAブランドを発掘プロジェクト〜」で、FUTAEDA株式会社が運営するコンセプトショップにお邪魔することになった。三越B1Fにある「ショップFUTAEDA」だ。
茶色とコンクリートの壁を基調としたシックな内装の店内に目を奪われると、「体 肌 そして眠りまで あなたがトトノウ 新しいお店です」という印象的な言葉がお出迎え。落ち着いた空間はまるでホテルのようだった。しかしここはあくまでショップ。中央の棚には所狭しと50種類以上はあるであろう商品が置いてある。
選ばれし商品たち
なんでこんなに商品が?しかもジャンルはバラバラ!お菓子があれば石鹸もあるし、亜麻仁油があればベッドもある。「私がスタッフだったらこんなにたくさん把握できない……」それくらいバラエティに富んだラインナップなのだ。聞くと、FUTAEDAでは、社長だけでなく社員、バイトまで、社内全員で商品を試すらしい。使用してみた効果を報告し、そこで評価がいまいちだったものは店頭に並ばない。全ての商品について説明が可能かつ、推しポイントやなるほどエピソードがあるらしい。
商品小噺、教えてください
それはぜひ聞きたい、と陳列棚にと置かれている「ノニジュース」について尋ねてみた。すごく苦いのでテレビ番組では「罰ゲーム」として飲まされるあのジュースだが、実はこれすごいパワーを秘めているらしい。店員さんは、「花粉や乾燥肌といったアレルギー症状で肌が腫れ上がっていた同僚が、このジュースで劇的に良くなった(あくまで個人的な経験ですが)」と熱く語ってくれた。その話は長年乾燥肌で悩まされている私のハートに見事クリティカルヒットし、気づけばインタビューそっちのけで美肌になるための相談をしてしまった。
勝手に喋っちゃう
肌エピソードに思わず共感してしまい、気づけば自分の悩みをペラペラ話していた。そう、これこそがFUTAEDAさんの強みだ。徹底的に商品を使い、効果を熟知し、エピソードを紹介することで、お客さんの悩みを自ずと引き出す。手に取っている商品をいきなり解説するのではない。まずは何に悩んでいるかのコミュニケーションを図るのだ。どこまでもお客様ファーストな姿勢が見える。
ブレない姿勢
商品を徹底的に使い、どのような効果があるのか、どのような悩みを解決できるのか、自身の体験したエピソードを折り混ぜ、お客さんの悩みを深く共有し、見事に引き出してくれる。だが不思議なことに、商売らしさのような、いやらしさを感じさせない。それはお客さんのことを一途に想っている気持ちが会話の中で伝わってくるからだ。そのどこまでも誠実な姿勢は、ただただ、かっこよかった。