時のないホテル
惰性の朝
大学生の朝は遅い。一年生の頃は高校生活の名残りでまだ頑張れる。しかし二年三年と学年が上がるごとに、「まだ寝れる」「一回くらい授業休んでも大丈夫」と、早起きなんて概念は消え去り、今では10時に起きればいい方だ。だからホテルに宿泊して、余裕のある出発なんて無理だ。何故って、チェックアウトの時間が早いから。ギリギリの時間に起きて着替えて、ホテルに備え付けの慣れない大きな鏡に顔を近づけながら化粧して、荷物の整理。前日にやっておけばいいのだが、充電器やら洋服やら、最後までなんだかんだ荷物が残る。バタバタ片付けて、チェックアウトの5分前に部屋を出る、これが私の宿泊ルーティンだ。今回、取材の関係で「最高の目覚めをお約束します」と銘打つHOTEL GREAT MORNINGに泊まることになったが、どうせバタバタ起きるのがオチだろうと思っていた、この時は。
午前9時、コーヒーを飲みながら
結果から言おう。チェックアウト二時間前には全ての準備が終わっていた。なんなら暇が過ぎてベッドに腰掛け足を組みながら、ルームサービスのコーヒーを優雅に傾けNetflixにログインしてドラマを見ていた。あれっ、一体なぜこうなった?その理由は、私が「最高の目覚め」体験に成功したからだ。
咳をしても一人
最高の目覚め体験の一つの要因はF-CONによる静寂だ。風もないし空調の音もしない。また、F-CONは断熱性の高い部屋で効果を発揮するため、ホテルはもちろん断熱仕様。窓は二重になっているため、博多という一等地にも関わらず、外部の音が入ってこない。つまり、「わ〜〜!F-CONだ!風がない!音もない!」なんてはしゃいでみても、返ってくるのは静寂のみ。静寂というのは不思議なもので、私に普段の何気ない一挙一動を考えさせた。「なんか携帯見るの、もったいなくない?」「わかる、ブルーライト目に悪いし。」「お水飲んで柔軟でもした方が体に良くない?」「あ、素敵!やりたい!」音のない空間で、気づけば私は私と会話していた。
朝、なのか?
最高の目覚め体験の要因、もう一つはアメニティ。FUTAEDAこだわりの寝具に包まれ、竹素材を使用しているというバスローブを着用した私は、「さあ『最高の目覚め』をよろしくお願いしますよ!でもさすがに9時には起きなきゃ……」とかなんとか言いながら0時に就寝。そして自然と目覚めたのは、なんと6時だった。寝る前と同様、あまりに静かで、携帯を確認するまで、何時なのかわからなかった。音のない空間で、音のない朝を迎えた。眠気は完全になく、程よい硬さの寝具と柔らかいバスローブのおかげか、体も軽い。「とりあえず起きよう」、そう思い、シャワーを浴びるべく脱衣所へ向かった。
これが、「最高の目覚め」
「最高の目覚め」を、私は履き違えていた。「最高の目覚め」とは、「まだ寝たい」なんて目をこすりながら時間の限り布団にこもり熟睡し続けることではない。睡眠欲がキッパリなくなることだ。そして私は、睡眠欲から解放された朝を迎えた。ハッキリとした意識の中で目を覚まし、シャワーを浴び、コーヒーを淹れ、出立まで余裕のある時間を過ごす……これがFUTAEDAが約束する「最高の目覚め」。自分の惰性な睡眠に嫌気がさしたら、またこのホテルに来なくては。